2012/11/24

今まで観たライブ Best3のはずがぐたぐだに..

"Radiohead" at 埼玉スーパーアリーナ, 2008, In Rainbows Tour

これですね。もう間違いなく。Bjorkに負けているのは、Bjorkが別格だからです。
あのライブはBest1にしなければいけない存在なので。
普通にいけば、ベスト1はレディオヘッドでしょう。

まあ、トム・ヨークもビョークをリスペクトしてるみたいだし、いいでしょう。(何がいいのか、よくわかりませんが..)

これは素晴らしかった。
二日間演って、二日とも行きました。

もう今更、レディオヘッドの魅力を解説するのも野暮なので、「これはスペシャルだ」と思った瞬間を挙げていきます。

一日目の"Exit Music (for a film)"。
一日目は、肩ならし的な感じもあったのですが、これは凄かった。
それまで、ざわついていた観客が、シーンと静まり返る。
それも、トム・ヨークが、最初のコードを弾いた直後、つまり 0.1秒とか、そういう間ですよ。その短時間で、巨大な会場の全てを沈黙に落とし込んだ。

あれは、何故なのか。未だに分かりません。短いアコギでの前奏が終わって、"Wake from your sleep.."と歌い出した瞬間は、完全な静寂でした。
それも、「気怠い」とはこういうことか、という程のテンションの低さ。
さっきまで、けっこう元気に歌っていたのに、いきなり、この声。絶望に包まれた人しか、絶対に出せない声。「もうこの世はおわりだ〜」という感じ。

いつか、自分も何か機会があれば、あれだけの人を静まり返してみたいと思いました。あれは、すごいことですよ。

以前、トム・ヨークが「"Exit Music"のようなエモーショナルな曲はやりたくない」と発言していたので、もう聴けないのかな。もし、聴けるとしてもファン・サービスかな。。

と思っていたのですが、全然、そうではない。演りたいから、演る。それが伝わってきました。それが、すごく嬉しかった。

"OK computer" からの曲も多くやってくれたのが、意外でした。"In Rainbows"というコンセプチュアルで、「固い音」、抑制された感情、で構成されたアルバムに、まさか、昔の、それも"OK Computer"の曲が合うとは....

でも、よく考えたら、OK Computer の曲も、固い音ですよね。
"Kid A"とかと比べたら。それで、硬質なもの同士が合うのかもしれません。

ひたすら暗い、"Climbing up the walls"。これも"OK Computer"からの曲ですが、非常にセットリストとマッチしていました。この曲、よかったなぁ..

ちょっと疲れてきたのと、記憶が曖昧なので、良かった曲、一日目と二日目、合わせて。

"Videotape"
もう、これは"In Rainbows"の核であり、現代の音楽の核とも言えるほどの楽曲ですよね。私はそう思います。そして、ライブでは...本当に良かった。ベストと言っても良いかも知れません。ベストな曲が、ベストに演奏されるなんて事は、奇跡に近いのですが、レディオヘッドは簡単にそれをやってのけました。
この曲は、
初期のボナールでの初演ヴァージョン(かなりエモーショナル)
In Rainbows 発売前にYoutubeにアップされた、トム・ヨークのピアノ弾き語りバージョン(From the basementのもの)
そして、CD収録バージョン。
この三つがファンの間では有名ですよね。どれも素晴らしい。上から下に行くにつれて、つまり、時系列を追っていくごとに、音の数、つまり装飾的な役割を果たす音が減っていくのが分かります。
ボナールでは、ドラムのリズムも違うし、エドの装飾的なギター(かなりKid Aの世界に近いもの)、そして何よりジョニーの叩き付けるようなギタープレイ(間奏の所)が、印象的です。どんどん加速して、最後に解き放たれる感じ。レディオヘッドの十八番と言っても良いかもしれません。

そして、トムの一人バージョンでは。とてもプライベートな雰囲気の中、歌詞が丁寧に歌われていきます。歌詞の素晴らしさに、あそこで気付いたファンも多いと思います。自分がそうでした。CDと違うのは、間奏の、階段式に上がっていく音階があること(CDでは無くなっている)。そして、歌詞が一カ所、違います。
最後らへんの、"This is my way to say good-by" の後、"Because I can't do it face to face /so I'm talking to you /after it's too late /from my videotape"
感動的な歌詞ですが、やや自虐的な感じもします。

そこでCDバージョンでは
"after it's too late from my videotape"がまるまる、抜けているのです。
代わりに"talking to you before"
と"before"が挿入されています。もちろん、意味的には、Before はよく分からないですが、
それ以前にあった、"it's" too late〜"
「お別れお言いたいけど、もう、手遅れ。ビデオテープを通して言おうか..」というところの「もう、手遅れ」が削除されています。
代わりに"before"に差し替えられている。希望を表す単語に、塗り替えられています。

そして、最後の感動的なフレーズ
"No matter what happens now. I won't be afraid. Because I know today has been the most perfect day i I've ever seen"
に繋がるわけですが、これもCDでは "you shoudn't be afraid"に変えられています。

ひたすら、ポジティブなワードを選んだ結果でしょう。
「何が起きても、もう怖くなない。今日があまりに完璧な日だから。これまでの人生で一番の日だから」
(ちなみに、これは死を直前にした主人公が歌っているという設定です。ビデオテープの中から語りかけているという設定ですね)
この「何が起きても〜」の主語が、以前のバージョンでは「自分」だったのが、「あなた」に変化しています。慈愛に満ちあふれていますね。

その後、CDでは無機質なクリック音が反復されます。その時のコード進行が素晴らしいのですが、まあ、それは置いておいて。やっぱり、良い曲だ。。

そう、それを生で観たのです。(何の話か忘れていた)
いや〜良い経験でした。

二日目のライブは総じて良くて、特に"In Rainbows"の曲が際立っていた。
"Reckoner"はこのアルバムを体現するような、あまりに幸せな、永遠性に満ちあふれていますが、ライブはそれ以上に良かった。途中の"Because we separate like ripple on a blank shore in ranbows"という歌詞が切ないですが、
「なにもない砂浜の泡のように、自分たちは別れていく。虹の下で」というものですが、
切ないように見えて、良い意味で切なくないですね。これまでの、OK Computer 時代の暗いどんよりした感じはない。どこか、達観したものを感じます。
ライブでも、ここでは音数が絞られ、トムのギターだけになり、静かになるのですが、「寂しい」というより「美しい」という言葉が似合うその瞬間でした。

あとは、"Weird fishes "がこんなにいい曲だとは思わなかった。二日とも、この曲がハイライトだといっても良いほど。セットリストの中間に二日とも演奏されていました。中心に置きたかったのでしょう。

"Myxomatosis"も良かった。これは"Hail to the theif"からの曲ですね。なぜか、wowowで放送された時はカットされてましたが、大歓声でしたよ。
"Fake plastic trees" が演奏され始めた瞬間の雰囲気も最高でした。それまで、名曲の名演が連発されていて、会場が完全に温まっていたんですよね。
誰かが「どの曲もすごい..」と呟いていたのが聞こえましたが、同感でした。
そして、まあ、懐かしの名曲というかお約束の"Fake~"だったわけですが、もう観客も何でも受け入れる体勢に入っていた。全てが素晴らしかったので。
そこで、"Fake~"のイントロが入って、会場全体が自然に手拍子に包まれました。ごく自然に。あれは感動的でした。

ほかにも、というかどの曲も素晴らしかったのですが、
良いと言うよりびっくりしたのが、
"Pyramid song"、これもレディオヘッドの代表曲ですが、「静かな浮遊感」という感じで受け止めていたのですが、実際聴くと、ピアノの音が、デカいんですね。ガンガン叩き付けるように弾くんです。自分はこの曲が好きで、自室でぼそぼそと弾いたりするのですが、優しく弾いていました。びっくりでした。

今、いいまとめを思いついたので言いますと、レディオヘッドの曲は、情緒的とか、雰囲気が良いとか、言われるし、実際そういう要素もあるんですけど、
実際、ライブで聴くと、音が物質的なんですね。
目の前に、存在するかのように、まるで「視覚的に見える」かのように、音が在る。

何か誤解をしていました。物量があるんです。音に。

だから、メンタルというより、フィジカルに響くんです。

思うのですが、メンタル(心)はスピリチュアル(精神、宗教的なもの)には通じていないと思うんです。少なくとも音楽の世界では。
スピリチュアルに辿り着くには、必ず、フィジカル(身体的)な通過儀礼が必要になる。

ビョークでも感じましたけど、というか、ビョークの所で書けば良かったけど、
ビョークのライブは、非常にフィジカルです。というか、完全にフィジカル。リズム、声、振動、それだけが体を支配する。考える余地なんかないんです。
その先に、何か、見えない世界、精神世界とでも言うのでしょうか...それが見えてくるんです。
ああ、これ、ビョークのところで書けばよかったな..。

レディオヘッドにも、ほとんど全く同じことが言えると感じました。考えたり、感動したりする余地はは、少なくともライブ中はない。

その後に来るんです。唖然とするほどの、「何かとてつもないものを見てしまった」感が。

フィジカルを通して、精神へ。これは、優れたアーティストのライブの原則ですね。

ということで、レディオヘッドの話は終わります。

もったいぶって、Bestなんちゃらとか書くのも面倒になってきたので、言うと、

My Bloody Valentine @ フジロック,2008

Red hot chili peppers @フジロック,2006 (ジョンがいた頃です)

テニスコーツ @o-nest , 2006 (DVDにもなってます。日本のバンドです。すごくいいですよ。バイババビンバの初期バージョンがすごく良かった。良いどころではなく、良かった。もう、人生が変わりました..)

Clap your hands say yeah @フジロック, 2007

全然、ベスト3じゃないですね。7個もある。。

ああ、マイブラは一位でも良いかも。順位は付け難い。ビョーク、マイブラ、レディオヘッドは、別格ですね。特にライブは。

テニスコーツも、また全然違う意味で別格。はっきり言って、テニスコーツ(Tenniscoats)は、全てのライブが良いです。というか、全てのライブに奇跡的な瞬間があります。ライブ全体の出来としては、えっという感じが多いですが、そんなの関係なく、その一瞬の為だけに聴きに行ってる感じはします。

にせんねんもんだい、のFAN発売ライブも良かったです。だんだん成長していってる感じがします、あのバンドは。

あと、ゆらゆら帝国の日比谷野外音楽堂(2001)。たしか、「ゆらゆら帝国Ⅲ」を発売したツアーのファイナルかなんかでした。あれは、すごかった。DVDになってます。
午前3時のファズギターで、驚愕した覚えがあります。後半の"グレープフルーツちょうだい"から始める一気の畳み掛けもすごかった。ラストの"でっかいクエスチョンマーク"が、あんなにいい曲だとはあの時、初めて分かりました。途中の発光体も、Evil Car も、素晴らしい演奏でした。

もう、話が終わらないので、止めます。

暇だと、誰に言うでもなく、文章を書き続ける癖があるので(しかも、クオリティの低い文章を)、気をつけたほうがいいですね。もう2時です。

では、また。




今まで観たライブ Best3 (1位 ビョーク,2008)

陳腐なタイトルですいません。
暇なので..

色々、修論の中間発表の用意とかが一段落しまして、何か好きなことを書きたいな、と。


ベスト1
Bjork
@日本武道館 Volta Tour 2008

もう、これは言うことがないですね。
まず、一応、ネガティブな要素を言っておくと、武道館はとても音質が悪いんです。
もともと、音楽の為の場所ではないし、武道館全体が音圧に耐えきれずに、
会場全体が、振動してしまうんですね。だから、低音はもちろん割れるし、全ての音が細かく聴き取りづらい。

そこで、Bjorkです。Bjorkと言えば2001年のパリでのライブ、"Vespertine Tour @Royal Opera House" が有名ですよね。
あのライブはDVDで観たことしかないけど、素晴らしい。

それと同じものを期待してはダメです。武道館では。そして、Volta Tour では。
むしろ、何故、Vespertine Tour があれほど素晴らしいのか、その本質を私は見誤っていたことに気付きました。
たしかに、Royal Opera House はクラシックの為の劇場で、音質は素晴らしい。
オーケストラと、Vespertineの時期のBjork の繊細さが、あの会場では、奇跡的にマッチしていた。ほんの小さな音さえも、愛でる、そのBjorkの姿に、それまでの、ややパンクなイメージを払拭され、度肝を抜かれたでしょう。私がそうでした。

ただ、Bjorkの本質とは、あのような繊細な、いわゆるクラシック的な静的な場所でのみ、発揮されるものではない。むしろ、こう言うべきでしょう。
あのような場でさえ、Bjorkの魅力は変わらない、と。

つまり、Bjorkの凄さは、「どこで歌っても全く魅力が変わらない」ということです。
簡単に言えば、Bjorkが歌いさえすれば、それがBjork。
Bjorkの声が、それ自体がBjork。

それが、武道館で証明された気がします。
Voltaは、やや攻撃的なサウンドのアルバムで、祝祭的な盛り上がりを、特にリズムから感じさせられるアルバムです。

だから、武道館の音響の悪さと合った、というのもあるかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。

ライブ一曲目は、Voltaの一曲目、"Earth intruders" で始まりましたが、セットリストは、ほぼ、これまでのベスト的な内容。

つまり、"All is full of love"も"joga"も"Hunter"も、普通に序盤から演ったということです。

そして、それらが素晴らしかった。もう、一緒に行った人なんて、二、三曲目で泣いていました。

歌声、そのものが、あまりに強烈に、頭の中に入ってくるのです。そして、声がでかい。
マイクを通しているから当たり前とか、そういうのではなく、
なんというか、声がでかいのが、歌う姿、声そのものから伝わってくる。
それに身震いするのです。

そして、ラストは"Hyperballad""Pluto"(!!) "Declare Independence"の三連発。

会場の音は割れ、もう歌声しかはっきり聴き取れないくらいでしたが、
あの祝祭感!多幸感!

完全に、Bjorkに押し切られました。
「どうだ、これが私の歌だ。文句あるか」
「いや、ないです」
みたいな感じでした。

..全然、文章で伝わらない...

めげずに、次はBest2の発表です...